通勤中の自殺と労災保険

 

労災保険には

 

  • 業務災害
  • 通勤災害

 

の2つがあります。

通勤途中に自殺があった場合に、労災保険の通勤災害に該当すると思われる方も多いかもしれせんが、実際にはそうはなりません。

通勤中の自殺については行政通達が出されています。

 

平18.3.31 基発第0331042号

「自殺は通勤が原因ではない」

 

通勤中の自殺が業務災害となることもある

 

上記の通達のように、通勤中であっても自殺は通勤災害ではないとなりました。

では労災保険の対象とならないのか?という問題についてですが、まれに業務災害となることもあります。

「なぜ通勤中の自殺は業務災害となるのか?」

と疑問に思う方も多いと思います。

これについて

「その自殺が業務上事由(たとえば強度の業務上のストレスなど)によって起こった」

とされれば業務災害となりえるということがあるからです。

通達によれば、

 

平23.12.26 基発第1226号

統合失調症等の一部の病気については、業務起因性を認める。

その他は平11.9.14基発第545号による。

 

基発第545号によれば、

 

業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない。

 

とされています。

つまり業務上事由による、正常な認識や行為選択能力が著しく阻害されているようなケースでの通勤途中での自殺では業務災害となりえるということになります。

 

通勤途中での自殺では会社に一定のリスクがある

 

通常、通勤災害で会社にリスクがあるということはまれだと思います。

しかし上記の通達によって、業務上事由によって

 

  • 統合失調症等
  • 正常な認識や行為選択能力が著しく阻害されているようなケース

 

での自殺の場合、業務災害となりえるとなっていました。

この場合、遺族次第のところもありますが、労災保険で補償されない部分について民事賠償請求を受ける可能性があることを示しています。

つまり「通勤途中での自殺」では会社は「自分には関係のないこと」とできず、業務災害であるので会社に法的責任が生じるということも意味することになります。

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