退職時の「債権債務ない」契約をする

 

残業代請求その他の金銭的なトラブルというのは、かなりの割合で退職後に起こります。

そのため退職時にトラブルを予防した状態で退職させたいと思う経営者の気持ちもわからないではありません。

このような場合によく使用されるものが

「債権債務のないことを確認する」

という文言の入った契約書を締結するというものです。

この方法ですと一見、雇用期間の債権債務はないので

 

  • 残業代請求
  • その他の割増賃金の請求
  • 退職金の請求

 

といったあらゆる債権債務がなくなるのではないかと思ってしまいます。

経営者の中にはこれを信じ、かなり強引に契約を締結していることもあるようですが、実際には法的効力を争われることもあります。

 

無効を主張されることもある

 

上記のような契約をすることは慎重な姿勢の表れであり、すべての場合に非難されるべきことではないかもしれません。

しかし適切な手続きを踏まないで上記のような契約をしても、やはり法的に無効と主張されかねません。

例えば残業代請求が怖くて、「債権債務はない」といった契約書を締結したとしましょう。

しかし相手の従業員からすれば

 

  • なぜ今まで残業代が適法に支給されなかったのか?
  • 具体的に金額はいくらか?
  • 未払いがあった時期はいつか?
  • なぜ債権放棄を要求されるのか?

 

といった説明を書面で受けていません。

口頭で説明してもそれを証明することもできず、署名・印鑑を押させたとしても、やはり後から法的有効性について反論されることも出てきます。

 

形式的な契約は無意味

 

判例等では実際の態様を判断してくることが多いです。

口頭で説明を少しだけ受け、印鑑を押させられたとなれば、やはり法的有効性はどこまで担保されるかは不明です。

しっかりと従業員と話した上で、また説明も丁寧に書面を交えて行うことで、はじめて有効性が担保される可能性があるわけです。

(これでもやはりあまりに一方的に放棄させたというような場合には無効となることもあります)

形式的に契約し仮の安心を得ようとすることはあまり会社のためにならないといえるでしょう。

特に民法上の錯誤・詐欺といった観点から契約自体が無効と反論されることもあるので、この点には十分な注意が必要です。

給与減額に同意しないと解雇となりますはNG

 

日常的な予防が一番

 

退職時に残業代請求などの手当をしようとすれば無理がやはりあります。

従業員も特に遠慮もしないので、堂々と契約をしないこともできます。

やはりこの種のトラブルには日常の予防が一番です。

就業規則で定額残業代規定を置く

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