有給休暇取得時の不利益禁止

 

労働基準法第136条附則で有給休暇取得による不利益取扱いが禁止されています。

 

労働基準法第136条の趣旨

  • 有給休暇を取得した労働者について、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはいけない
  • 精皆勤手当、賞与の算定等において、有給休暇取得日を欠勤としたり、その他有給休暇取得を抑制するすべての不利益取扱いをしてはならない

 

この序文に対して刑事罰の定めはありません。

従って、この規定は使用者に適切な措置を求めたものであるといえます。

 

判例での判断

 

刑事的には罰則がないので、やや強制力に欠けるものとなっています。

では民事上はどのように判断されているのでしょうか?

特に昭和においては有給休暇取得による不利益取扱いは無効とする判決もありましたが、平成に入り有効とするものも出てきています。

 

平5.6.26 最高裁 沼津交通事件

「(労働基準法第136条は)努力義務を定めたものであって、労働者の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものではない。」

 

平16.12.27 東京地裁 練馬交通事件

「労働基準法136条は努力義務規定であり、会社の取扱いは法の趣旨に沿わないが、無効とまではいえず、手当ての不支給は有効である。」

 

法制上は精勤手当や皆勤手当の減額というのは望ましくないといえるでしょう。

現在のところ、民事的には有効と判断されることが多いといえます。

しかし労働基準法第136条に罰則が設定されるといった将来的な法改正もないとはいえません。

その場合、判例の判断も変わってくることもあるでしょう。

 

労基署の調査

 

民事上、上記のように不利益取扱いも有効とする判断はおおむね固まってきたといえます。

しかし問題は労基署の調査や是正勧告です。

行政も判例の影響を受けて判断をすることが多いですが、労働基準法第136条から「有給休暇取得による不利益取扱いはおかしい」とされる可能性も十分にあります。

この場合、どこまで民事的判断を採用してもらえるかは難しいところですが、上記の判例を紹介し説明するということになります。

是正勧告の対応」参照。

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