転勤・配置転換の拒否

 

会社によっては

 

  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 誓約書

 

といった書類で将来の転勤・配置転換について一定の労働条件としていることもあると思います。

当然ではありますが、上記のような書類で包括・個別合意をとっていても無制限に転勤・配置転換の命令が有効とはなりません。

合理的理由がない場合には、会社の転勤・配置転換の命令が無効となることもあります。

詳しくは以下を参照。

採用時の労働条件の明示事項

入社時の誓約書の法的意味

 

拒否できるケース

 

具体的に判例によって転勤・配置転換が拒否できるとされているのは以下のケースです。

 

業務上の必要性のない場合

  • 退職させることを目的とした転勤・配置転換の場合など

 

不当労働行為に該当する場合

  • 労働組合員や組合活動家であることを理由とする転勤・配置転換の場合

 

思想・心情その他の差別的処遇による場合

 

労働条件が著しく低下する場合

  • 生活に影響を及ぼすような賃金の低下を伴った転勤・配置転換の場合
  • また通勤時間の増加になる場合

 

職種・勤務地について合理的な予想範囲を著しく超える場合

 

技術等の著しい低下となる場合

  • 特に技術系統の従業員の技能等の維持・発展を阻害する転勤・配置転換の場合

 

私生活に著しい不利益を生じる場合

  • 従業員自身の健康の保持、重病である従業員家族の生命・身体の危険にかかわるような場合

 

単身赴任と転勤

 

単身赴任となる転勤命令は従業員にとっては大きな影響があります。

しかし判例上、単身赴任を理由とした転勤拒否については「転勤拒否の理由とならない」とするものが多いです。

上記の要件に該当しない単身赴任者の転勤命令は多くの場合に有効となるといえるでしょう。

 

育児・介護従業員と転勤

 

育児・介護従業員についての転勤は本人と事情によって柔軟に対応しなければいけません。

一方的に転勤を命じれば無効とされるケースも多いです。

育児・介護休業法第26条において

 

事業主は、転勤させようとするときには、育児や介護を行うことが困難となる者について、その育児又は介護の状況に配慮しなければならない。

 

この条文では配慮義務までは定められていますが、転勤させてはならないとは定められていません。

基本的にはいくら育児・介護従業員であっても会社に広い転勤命令権があると考えて良いと思います。

例外として下記のように転勤によって家族等の生活や身体・精神の状況が非常に厳しくなることが予想される場合は転勤命令は下さないというように考えるべきであると思います。

転勤命令が無効とされた判例によれば、

 

平14.12.27 東京地裁 明治図書出版事件

共働き夫婦における重症のアトピー性皮膚炎の子の育児の不利益は、通常甘受すべき程度を著しく超え、権利濫用として無効

 

平15.11.14 神戸地裁 ネスレジャパンホールディング事件

精神病の妻ないし要介護実母の存在等の家庭の事情に照らすと、・・・、権利の濫用に当たり無効

 

となっています。

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